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Is this love?(This is love!) 今年も聴いた 曲名に「恋」が入ってるいい曲 [2020年版]

*この記事は、最も尊敬する魚類の友人なまおじ氏(@namaozi)企画の「楽曲オタク Advent Calendar 2020 - Adventar」19日目の記事です。現時点で既に18の名ライターが名記事を持ち寄っていらっしゃいますので、そちらも(を)ご覧ください…!

 

こんばんは。冬晴れが心地よい師走の候、本年もたくさんの感謝や反省をして振り返る時期となって参りました(時候の挨拶)。

もう12月19日ですって。みなさん平気ですか?僕は割とダメです。「時候の挨拶」って検索したら冒頭の挨拶出てきたんですけど、こんなクソ寒いのが心地よいわけねえだろがなめとんかオラって感じです。

 

今年もやるぞと鬨の声が聞こえて参りましたので、うひょひょいと喜び勇んで参加させていただきます。

 

 

はじめに

」。妙な単語です。

正体不明、定義不明。にも関わらずこれほどまで親愛的に扱われ、時には人間様を振り回してきた語があるでしょうか。英"Love"とも趣を異にするこれは、時代が令和に移り変わったにも今なお、「恋と愛の違いとは」という命題での取り扱いを筆頭にオールタイムで大ヒットなワードです。

恋セヨと責めるこの街の基本構造が「イージーラブ!イージーカム!イージーゴー!」であると説いた曲がヒットして早20年の年月が経過しましたが、車はあいも変わらず空を走る予定はありませんし(化石燃料車は無くすみたいですけど)、人間が浮かれ恋に焦がれることなど、なおさら変化のしようがありません。

幾多の音楽家たちが普遍的に恋に触れ、その体験を楽曲にしてきたであろうことは疑いようのない事実ですが、同じ語を扱っているにも関わらずその態様は一様とはならず、多様に解釈されたそれはメロディと共に私達の耳に運ばれ、色鮮やかな恋模様を追体験させてくれています。

前置きが長くなりましたが、今回は曲名に「恋」が入っている縛りで、別に今年に限ったことじゃない(なんなら今年リリースの曲が一つもない)ですけれど、いいなあと思う曲をご紹介させていただくこととしました。例によりご存知の曲ばかりだと思うので、「ラジオやクラブで好きな曲が流れた」くらいの感覚で読み進めていただけますと幸いです。

 

#1 恋のシグナルRin rin rin! - 星空凛(CV:飯田里穂)

作詞:畑亜貴 作曲:須田真吾 編曲:安藤高弘

収録:「Mermaid festa vol.2 〜Passionate〜」(2012)、「μ's Best Album Best Live! collection」(2013)、「μ's Memorial CD-BOX 『Complete BEST BOX』」(2019)

メディアミックス作品「ラブライブ!」より、μ’sの猫!カワイイ!元気!生意気!偏食!星空凛ちゃん(CV:飯田里穂さん)のソロ曲です。

竹内まりや氏の「モータウンビートにかわいい女の子の声を乗せて恋の歌を歌わせろ政策」が1997年の施行以降、23年経過した今なおMajiで色濃く国内ポップミュージックシーンに残り続けているのはご存知の通りですが、当楽曲にもその息がかかったことは容易に想像できます。

アニメ1期を観ていた頃はと言えば、「この曲かわいいけど凛ちゃんのキャラクター像から若干外れているのでは」などと思っていましたが、凝り固まりの全ては2期5話でさらさらと氷解しました沼津市にお住まいのペンネームずら丸さんも図書室の隅で泣いておられることでしょう。

 

#2 恋はMovie - 伊藤美来

作詞:Sally#Cinnamon 作曲:多保孝一 編曲:中塚武

収録:「恋はMovie」(2018)、「PopSkip」(2019)

恋はMovie

恋はMovie

モータウンビート繋がり、次は我らが伊藤美来さんです。

華々しいホーンセクションが際立つイントロに迎えられ次に耳に飛び込むのは、銀幕の中でしか聞かれないような表現や口にしたら赤面してしまうような直喩が敷き詰められた歌詞ですが、それを白々しいと感じさせず歌い上げるのはさすがとしか言いようがありません。

一切の後ろ向きな感情を想起させない求心力、いわば若手女性声優界のパワーコード、何物にも代えがたい伊藤美来さんの声の魅力だと思います。みっくかわいい ああかわいい

 

#3 キミの瞳に恋してる - 森島はるか(CV:伊藤静)

作詞:伏見和行 作曲・編曲:津波幸平

収録:「キミの瞳に恋してる」(2010)、「ENDING THEME COLLECTION」(2011)、「アマガミSS COMPLETE ALBUM」(2016)

キミの瞳に恋してる

キミの瞳に恋してる

  • 森島はるか(CV:伊藤静)
  • アニメ
  • ¥255

アニメ「アマガミSS」森島はるか編(1~4話)のエンディングテーマです。曲名の元ネタはもちろん「君の瞳に恋してる(原題:Can't Take My Eyes Off You)」。フランキー・ヴァリの楽曲ですが、ボーイズ・タウン・ギャングのカバーのほうが圧倒的に知られてそうな気がします。

森島・ラブリー・はるか(本名)先輩の印象を楽曲にするならカラっと明るいギターロックしかあり得ないとは、まことに好判断としか言いようがありません。随所に入る鋭いカッティングや印象的なフィルインは、恋に夢中になる高揚感前のめり感のようなものを思い起こさせてくれます。

ドラムが櫻井雄一氏(LUNKHEAD,ex:ART-SCHOOL)なのも好ポイントです。アートスクールで後任を務められた鈴木浩之氏といい、あのバンドは名ドラマー育成部屋なところがありますね。ギターも凄腕揃いのお歴々、いやいやベースも捨てがたい…。ボーカルはがんばれ…。

 

#4 こいのす☆イチャコライズ - 塩出美彩希

作詞:仲村芽衣子,三ツ矢新 作曲:諸田英慈 編曲:諸田英慈,maru(project lights)

収録:「こいのす☆イチャコライズ ボーカルアルバム」(2017)


(公式の踊ってみた動画です)

えっちでよくないすばらしいゲームこいのす☆イチャコライズ」のオープニングテーマ、塩出美彩希さんの「こいのす☆イチャコライズ」です。

たった一人の恋人とただイチャコラすることだけを目的としたゲームの主題歌ともあれば、暴力的なまでのかわいさと胃もたれを起こすほどの甘々さが必要ですからして、結果その他一切の要素の付け入る隙を封じたスーパー甘々かわいいソングが見事に完成されています。

作編曲の諸田英慈さんはコンポーザーとしての活躍の他、COALTAR OF THE DEEPERSのマニピュレーターを務めておられたりもする方で、個人的にはとても推したい音楽家の一人です。アニメ本放送36年後に発売された「チャージマン研!」のトリビュート盤に収録されている氏の楽曲も素晴らしいので、研のムカつく顔のジャケットには目を瞑っていただきこちらも聴いていただけると嬉しいです。

バカっちょ金魚

バカっちょ金魚

  • 花園マリ子(小田ユウ)
  • トリビュート
  • ¥153

 

#5 恋をとめないで[live] - COMPLEX

作詞: 吉川晃司 作曲・編曲:布袋寅泰

収録:「19901108」(1991)

恋をとめないで

恋をとめないで

  • COMPLEX
  • ロック
  • ¥255

言わずもがな、帝国重工シンバルキッカー吉川晃司と実写版死神リューク布袋寅泰のスーパーグループです。ライブ版なのは単にそっちのほうがかっこいいからです。

男性的」、「気障(キザ)」みたいな単語が思い浮かぶような歌詞、アイドル歌手とロックボーカリストの二面性を持ち合わせた当時の吉川でしか表現できない恋の一幕だと思います。吉川と布袋の関係も言うなればめんどくさい恋人同士みたいなもんですしね。

あとイントロのギターフレーズがとても印象的な楽曲です。試聴に入ってないのが惜しいばかりなのでお金払って聴いてみてください。

 

#6 Fall In Loveに恋してるっ♪ - 清竜人

作詞・作曲:清竜人 編曲:MOSAIC.WAV

収録:「MUSIC」(2012)

Fall In Loveに恋してるっ♪

Fall In Loveに恋してるっ♪

清竜人、2012年リリースの怪物アルバム「MUSIC」より、編曲にMOSAIC.WAVを迎えた一曲です。

共作による思いもよらない成果を化学反応だなんて言いますが、ともすれば自らで作った曲をMOSAIC.WAVに編曲頼んでこう世に出してくる彼のことはマッドサイエンティストと呼ぶほかありません

恋に恋する男の子(きよしりゅうじん君・20歳)を描いた、多幸感溢れるとっても楽しい楽曲です(あえて詳細を省くタイプの叙述トリック)。

 

#7 恋うた - 音速ライン

作詞・作曲:藤井敬之 編曲:音速ライン

収録:「恋うた」(2007)、「三枚おろし」(2007)、「おとし玉〜ベリー ベスト オブ 音速ライン」(2009)

恋うた

恋うた

2003年結成の(現在)二人組、ボーカルギターの藤井さんが郡山、ベースの大久保さんが東京にお住まいの遠距離ロックバンドです。好きな部分が多すぎてどこから紹介しようかと悩むくらいなんですが、最大の魅力はやはりコードワークのセンス、次点でそこはかとなく薫る謡曲チックな要素でしょうか。

イントロ、ハードロックを思わせるブリッジミュートのギターリフは、若い恋の焦燥が感じられます。心がザクザクと刻まれていくような…。あとあと、ギターソロで同じフレーズの別テイクが左右に振られているんですが、と思いきやラストで上下に分かれるっていうのはこれ間違いなく別れの演出ですね。そういうことにしておきましょう。

音速ライン、同世代の(元)ロキノンボーイズ&ガールズなら高確率で知っててくれるんですけど、その他の世代や邦ロック愛好者外に伝わってないなら本当に惜しいなと思うばかりです。 

 

#8 恋とキングコング - 日向美ビタースイーツ♪ / 山形まり花(CV:日高里菜)

作詞・作曲・編曲:ササキトモコ

収録:「ひなビタ♪ ORIGINAL SOUNDTRACK」(2013)、「Bitter Sweet Girls!」(2014)、「Five Drops 01 -sunny orange- 山形まり花」(2015)、「日向美ビタースイーツ♪ BEST」(2018)

恋とキングコング

恋とキングコング

  • 日向美ビタースイーツ♪
  • アニメ
  • ¥255

ササキトモコ神を崇めよ――。

ひなビタとササキトモコさんの説明いりますか?いらんよな

(マジな話私から言うべきことなんてないので、代わりにリリース当初のササキさんのかわいらしい文体光るブログ記事置いておきます)

 

#9 恋のオーケストラ - 吉谷彩子

作詞:山田稔明 作曲・編曲:北川勝利

収録:「謎の彼女X 1(期間限定版)[特典CD]」(2012)

恋のオーケストラ

恋のオーケストラ

  • 吉谷彩子
  • アニメ
  • ¥255

アニメ「謎の彼女X」、オープニングテーマです。

北川勝利楽曲×長谷泰宏氏のストリングスアレンジ、勝利(しょうり)が約束されたようなものです。

加えて特筆すべきはやっぱり吉谷彩子さんの御声…。潔白さを声色に変換したかのような透明感です。主としてドラマ・CM等で活躍されている女優さんですが、声優としての活動、さらには楽曲歌唱が本作絡みのみだとは思いませんでした(今調べた)。勿体ねえよォ…。

ちなみに放送当時、主題歌はOP/ED共に円盤特典CDオンリーでの展開でした。世紀の大愚策と言えます。あとアニメは原作愛に溢れた最高の仕上がりなので、四の五の言わずにとっとと観てください。

 

#10 僕たちが恋をする理由 - 坂本真綾

作詞:坂本真綾 作曲:高田みち子 編曲:森俊之

収録:「30minutes night flight」(2007)、「everywhere」(2010)

坂本真綾さん、2007年リリースのコンセプトアルバムからの一曲です。

憧れを抱くほどに切なくなる、と言ってしまうとチープな響きですが、初期衝動的な高揚感の後に押し寄せるどうしようもないメランコリー、それらと対峙した先に待つ慕情のようなものが一曲の中に刻み込まれた素晴らしい楽曲だと思います。

話変わりますけど、収録された"30minutes night flight"発売時の特設サイトがありまして…。当時はこういう全面フラッシュしか使ってないサイトがいっぱいありましたよねって、ただそれだけなんですけれども。ライナーノーツ的なものや写真なんかも掲載されてるので、うわっ真綾さん若えって思いたい方は是非ご覧になってください。

 

おわりに

iTunesライブラリの再生上位、『恋』って入ってる曲多いな…書きやすそうだな」くらいの思いつきが本記事の発端でしたが、自身はこの単語をどう親愛的に扱い、この単語にどう振り回されてきたのだろうと振り返ってみるなども致しました。

幼稚園児の頃、その子のお母さんがタイプだったので「この子は将来あんな風になるはず!」と邪な期待をし恋したあの子。中学の頃、友人から促され告白をしたところ撃沈、よくよく話を聞いてみれば告白をけしかけてきたその友人と付き合っていたというあの子。高校から始まり大学入学当初までお付き合いをしたものの別れ、かと思えばノータイムで僕の大学の友人と付き合い出したあの子(そして「お前が不甲斐ないから悪い!」と寝取った分際で僕に説教を垂れてくれたその友人)。おうロクな思い出がねえな?

どの体験にもそれぞれ胸の高鳴りがあり、時に悩まされ、時にやりきれない気持ちを抱く場面がありました。殊更、これは対人関係に限ったものですらないように感じます。

初めてギターに触った日、友人と音を合わせた時。偶然テレビで流れたあのアニメを初めて観た日。自分の自転車を買ってもらったあの歳の誕生日。今では大好きな食べ物を最初に口に運んだ瞬間。これから先、生きていく時間を「それ」と過ごせる可能性を感じた瞬間、見えていたはずの景色が突然何倍もの広さになったように思えたタイミングの全ては、所謂対人関係での恋に落ちることと何ら違いはないと思うのです。

かわいらしいと感じること、憧れを抱くこと、想い悩むこと、知りたいと思うこと、共に歩みたいと願うこと、憎らしいとすら思うこと、慈しむこと。定義があいまいであるからこそ、多様な解釈がなされ、人の営みと共にその魅力、深みが増していく。

不思議で、そして素敵な単語であることを再認した次第です。

最後にご紹介した「僕たちが恋をする理由」、最後の一小節を添えて、本記事は締めさせていただくこととします。

 

恋をした それだけで そらは広く深くなっていく

 ――――

 

現場からは以上です。前日までの記事をご担当の皆様方、すばらしい記事をありがとうございました(今回もめちゃくちゃ参考にしました)。以降の記事をご担当の皆様方、このようなへっぽこ記事もございますので、思うまま指を走らせましょう。

お読みいただきありがとうございました。みなさま、くれぐれもご自愛の上、よい年末年始をお過ごしください…!